2015年3月にPS Vita/PS4向けに発売された『閃乱カグラ ESTIVAL VERSUS -少女達の選択-』は、前作『SHINOVI VERSUS』の正統続編にあたる作品です。学炎祭の後日談として、南の島で開かれる「カグラ千年祭」を舞台に、死者との再会というシリーズきっての感動的なテーマが描かれます。参戦キャラクターの多さと物語の重さの両方で知られる本作を、じっくり掘り下げてレビューしていきたいと思います。
「死者と再会できる」千年祭という設定
ESTIVAL VERSUSの物語は、南の島で開催される「カグラ千年祭」を舞台に展開されます。この祭りには「千年祭の世界では死者と再会できる」という特別な設定があり、これまでのシリーズで命を落としたキャラクターや、過去に決着をつけられなかった因縁を抱えたキャラクターたちが、再び姿を見せることになります。単なる後日談としての続編ではなく、これまで積み重ねてきたシリーズの物語に一つの区切りをつける意味合いも持たされており、SHINOVI VERSUSまでの物語を追ってきたプレイヤーほど感情移入できる構成になっています。各キャラクターがそれぞれの心残りや後悔と向き合いながら千年祭での戦いに臨む姿は、単なるバトルアクションの枠を超えた重みのあるドラマとして丁寧に作り込まれています。
参戦キャラクター数はシリーズ最大級
ESTIVAL VERSUSの大きな特徴の一つが、参戦キャラクターの多さです。半蔵学院・蛇女子学園・焔紅蓮隊・死塾月閃女学館・秘立蛇女子学園といった、これまでのシリーズに登場した学園のメンバーがほぼ総出演する形で顔を揃え、さらに敵陣営として巫女神楽三姉妹をはじめとする新キャラクターも加わります。これだけの人数を一つの作品にまとめながら、それぞれのキャラクターにきちんと見せ場が用意されているのは見事というほかありません。「とにかくたくさんのキャラクターで遊びたい」という人にとって、ESTIVAL VERSUSはシリーズの中でも随一のボリュームを誇る一本だと言えます。
メインストーリーとアーケード任務「百華繚乱記」
前作SHINOVI VERSUSではチームごとに個別のシナリオが用意されていましたが、ESTIVAL VERSUSのメインストーリー「真説少女忍法帖」はチーム別の構成をなくし、共通のメニューから物語を進める形に変更されています。これにより、全キャラクター分の物語をより効率的に、かつ一つの大きな群像劇として体験できるようになりました。また、キャラクターごとの個別ミッションとして「百華繚乱記」というアーケード任務が用意されており、メインストーリーだけでは描き切れない一人一人のエピソードをじっくり掘り下げられる作りになっています。お気に入りのキャラクターを一人選んで、その子の任務だけを集中して遊ぶという楽しみ方もできるため、大人数キャストの中から自分なりの推しキャラを見つける遊び方にも向いています。ボリュームの多さに加えて、こうした個別コンテンツの充実ぶりも、ESTIVAL VERSUSがシリーズの集大成として評価される理由の一つです。
ジオラマモードの人気は今なお健在
キャラクターを自由に配置して鑑賞・撮影できる「ジオラマモード」は、ESTIVAL VERSUSでも大きな人気を集めた要素です。発売から数年が経過した現在でも、SNS上でこのジオラマモードを使った投稿が多数見られるほどで、ストーリーをクリアした後も長く遊べるコンテンツとして機能しています。参戦キャラクターの多さと合わせて、自分の好きなキャラクター同士の組み合わせで自由に一枚絵を作り込めるのは、このシリーズならでの醍醐味だと感じます。バトル面でも、忍法帖による変身システムや着崩れといったおなじみの要素はそのままに、SHINOVI VERSUSからさらに洗練されたアクションが楽しめます。
敵陣営・巫女神楽三姉妹が生む新たな緊張感
ESTIVAL VERSUSでは、これまでのシリーズになかった新たな敵陣営として巫女神楽三姉妹が登場し、物語に新しい対立軸をもたらします。これまでの「半蔵学院vs蛇女子学園」「善忍vs悪忍」といった構図とはまた違う、千年祭という祝祭の裏に隠された思惑を持つ存在として描かれ、複数の学園メンバーが手を取り合って立ち向かうことになるのも本作ならではの展開です。敵側の目的やキャラクター性もしっかり掘り下げられており、単なる噛ませ役ではなく、物語の緊張感を最後まで引っ張る重要な存在として機能しています。個人的には、これまで対立していたキャラクター同士が共闘する場面に、シリーズを追ってきたからこそのグッとくるものを感じました。
気になった点
参戦キャラクターが非常に多い分、初めてシリーズに触れる人にとっては人間関係の把握がやや大変に感じられるかもしれません。SHINOVI VERSUSまでの物語を知らないまま本作から入ると、死者との再会という展開の重みが十分に伝わりにくい可能性があるため、できればBurst Re:NewalやSHINOVI VERSUSを先に遊んでおくことをおすすめします。また、ボリュームが多い分、全キャラクターのエピソードをコンプリートしようとするとかなりの時間を要する点も、じっくり遊べる反面、遊ぶ時間が限られている人にはハードルになるかもしれません。
よくある質問
Q. SHINOVI VERSUSを遊んでいなくても楽しめますか?
A. 単体でも楽しめる作りにはなっていますが、死者との再会というテーマの重みを十分に味わうなら、先にSHINOVI VERSUSまでのストーリーを追っておくのがおすすめです。
Q. どのプラットフォームで遊ぶのがおすすめですか?
A. PS4版が最も快適に遊べますが、2017年にはSteam版も配信されているため、PC環境で遊びたい人はそちらを検討するのもおすすめです。
Q. この後シリーズはどう続いていきますか?
A. 家庭用ゲーム機向けの本編としてはBurst Re:Newalが後に発売されていますが、これは原点のリメイクです。物語としてはスマホ向けの『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK』へと続いていき、さらにその3年後を描く最新作『シノビNEXUS -閃乱カグラ-』へとつながっていきます。
Q. ジオラマモードだけでも楽しめますか?
A. 十分楽しめます。参戦キャラクターが多いぶん組み合わせの幅も広く、ストーリーを離れてキャラクターを眺めるだけでも長時間遊べる作りになっています。
まとめ
『閃乱カグラ ESTIVAL VERSUS』は、シリーズで積み重ねてきたキャラクターたちを一堂に集め、死者との再会という重いテーマに正面から向き合った、まさに集大成と呼ぶにふさわしい一本です。派手な忍者アクションと、キャラクター一人一人の過去にきちんと向き合うシナリオの両方が高い水準で両立されているからこそ、シリーズを代表する作品として今も名前が挙がり続けているのだと思います。参戦キャラクターの多さ、ボリューム、そしてジオラマモードをはじめとするやり込み要素まで、閃乱カグラというシリーズの魅力を存分に味わえる作品だと感じます。Burst Re:Newal・SHINOVI VERSUSからじっくり物語を積み重ねてきたプレイヤーほど、本作のラストで得られる感慨は大きなものになるはずです。本編3作のレビューはここまでとなりますが、次はシリーズを彩るキャラクターたちにスポットを当てた特集記事をお届けします。
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