『閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-』レビュー ― 4学園が入り乱れる学炎祭の行方

2013年2月にPlayStation Vita向けに発売された『閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-』は、シリーズの方向性を大きく変えたターニングポイントとなる一本です。前作までの2Dベルトスクロールアクションから3Dフィールドを使った無双系アクションへと生まれ変わり、複数の忍学園が入り乱れる大規模な学園対抗戦「学炎祭」が描かれます。今回はこのSHINOVI VERSUSの見どころを、じっくりレビューしていきたいと思います。

4つの忍学園が入り乱れる「学炎祭」

本作の舞台となるのは、正式に認定された忍学校同士が競い合う決闘祭「学炎祭」です。攻撃側が守備側の忍結界を5つ破れば勝利、敗れた学校は燃やされ廃校になるという、かなりシビアなルールが設定されています。登場する4つの学園・チームは、伝説の善忍・半蔵に連なる国立半蔵学院(飛鳥・斑鳩・葛城・柳生・雲雀)、安土桃山時代から続くエリート校である死塾月閃女学館(雪泉・叢・夜桜・四季・美野里)、蛇女子学園の新体制メンバーである秘立蛇女子学園(雅緋・紫・忌夢・両備・両奈)、そして前作Burstで蛇女子学園を離れた抜忍集団・焔紅蓮隊(焔・詠・日影・未来・春花)です。「新設少女忍法帖」というモードでは、この4つの視点それぞれから学炎祭を描くパラレルなストーリーが展開され、同じ出来事を別の学園側から見るとまったく違う印象になる構成が非常に凝っています。

2Dから3Dへ、アクションの根本的な進化

SHINOVI VERSUSにおける最大の変化は、戦闘システムがベルトスクロールから3Dフィールドの無双系アクションへと刷新されたことです。広いフィールドを自由に駆け回りながら敵の忍者たちをなぎ倒していく爽快感は、前作までとは比べ物にならないほど向上しました。忍法帖による変身システムも引き続き健在で、聖衣をまとった状態での必殺技はより派手な演出になり、シリーズのアイデンティティである「着崩れ」システムも3D化によってより自然な見た目で表現されるようになっています。さらに本作では、最大4人でのマルチプレイ対戦(2on2)が新たに追加され、ストーリーだけでなく対人戦としての遊びの幅も大きく広がりました。友人と一緒にわいわい対戦できる要素は、このジャンルとしては珍しく、シリーズの中でも独自の立ち位置を作っています。

新学園キャラクターたちの個性

本作で初登場となる死塾月閃女学館の雪泉たちは、由緒あるエリート校らしい気品と誇り高さを持ちながらも、それぞれが人には言えない事情を抱えたキャラクターとして描かれます。特にリーダー格の雪泉は、寡黙で凛とした佇まいの裏に強い信念を秘めており、飛鳥たち半蔵学院メンバーとはまた違ったタイプの「善忍」としての魅力があります。一方、秘立蛇女子学園の紫たちは、旧蛇女子学園の後継として、より過激で挑発的なキャラクター性を持たされており、飛鳥たちとの対立が物語に新たな緊張感を生み出しています。既存の半蔵学院組・焔紅蓮隊組もそれぞれ新たな一面が掘り下げられており、4学園合わせて20人というボリューム満点のキャラクター数でありながら、一人一人の掘り下げが手薄にならない作り込みには驚かされます。

ダウンロード実績が示す人気の高さ

SHINOVI VERSUSは発売から約10ヶ月の時点でPS Vita版だけで14万5,979本のダウンロード実績を記録しており、PS Vitaというプラットフォームの中でも高い注目を集めたタイトルでした。2016年にはWindows版もSteamで配信され、PC環境でも遊べるようになったことで、より幅広い層のプレイヤーに届く作品になっています。シリーズの転換点として、その後のESTIVAL VERSUSやBurst Re:Newalのシステムの土台を作った作品でもあり、閃乱カグラというシリーズを語るうえで欠かせない重要作だと言えます。

忍具や必殺技の掘り下げ

戦闘面では、キャラクターごとに異なる「忍具」の個性がしっかり立っているのもSHINOVI VERSUSの魅力です。刀や薙刀、鉄扇、双剣など武器種によってコンボの繋げ方やリーチが大きく変わるため、単純な物理アタッカーだけでなく、範囲攻撃が得意なキャラクターや、素早い連続攻撃を得意とするキャラクターなど、プレイスタイルに応じて好みの一人を選べる懐の深さがあります。忍法帖発動時の必殺技も一新され、キャラクターごとの個性を反映した派手な演出が加わったことで、単なる強化状態というだけでなく「見ていて気持ちいい」瞬間として仕上がっています。対戦モードではこうした武器種やキャラクター相性を読み合う駆け引きも生まれ、単純な物理アタッカー同士のぶつかり合いにとどまらない奥深さを感じられました。

気になった点

4学園×パラレルストーリーという構成は魅力的な反面、全ての視点を追おうとするとどうしても展開に既視感を覚える部分が出てきます。同じ学炎祭という出来事を軸にしている以上、大枠の流れが似通ってしまうのは仕方のない部分ではありますが、じっくり時間をかけて4本分のシナリオを味わう覚悟は必要です。また、PS Vita専用として発売されたこともあり、現在の環境で遊ぶにはSteam版のPC環境を用意する必要がある点も、遊ぶハードルとしてはやや高めかもしれません。それでも、シリーズのアクションと対戦要素の完成度を語るうえで外せない一本であることは間違いありません。

よくある質問

Q. どの学園から遊ぶのがおすすめですか?
A. まずは主人公格である半蔵学院の飛鳥たちの視点から始めるのが分かりやすいですが、Burst Re:Newalから続けて遊ぶなら焔紅蓮隊の視点も感慨深いはずです。

Q. 対戦モードだけを目当てに遊んでも楽しめますか?
A. 十分楽しめます。最大4人での2on2対戦は今遊んでも爽快感があり、友人と集まって遊ぶタイトルとして今も通用する内容です。

Q. この後は何を遊べばいいですか?
A. 正統続編である『ESTIVAL VERSUS』に進むのがおすすめです。学炎祭の後日談として、カグラ千年祭を舞台にした感動的な物語が描かれます。

Q. 4学園分すべてクリアしないと話がわかりませんか?
A. 1つの学園の視点だけでも一本のストーリーとして完結しているので大丈夫です。ただ、他の学園側から同じ学炎祭を見るとまた違った印象を受けるので、時間があれば全学園分プレイするのをおすすめします。

まとめ

『閃乱カグラ SHINOVI VERSUS』は、2Dから3Dへとアクションを刷新し、4学園が入り乱れる大規模な学園対抗戦を描いた、シリーズのターニングポイントとなる作品です。対戦要素の追加やキャラクターの大幅増加など、後のシリーズ作品の土台になった要素が数多く詰まっており、閃乱カグラを深く理解したいなら避けて通れない一本だと感じます。登場人物が一気に20人へと増えたことで群像劇としてのスケールも大きく広がり、以降のESTIVAL VERSUSやシノビマスでも活躍する顔ぶれが出揃った、シリーズの分岐点として何度でも振り返る価値のある作品です。今遊んでも色褪せない完成度の高さは、10年以上経った今なお語り継がれるだけの理由があると感じます。次は正統続編である『ESTIVAL VERSUS』のレビューをお届けします。


※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。

関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました