1992年、スーパーファミコン用ソフトとして発売された「ファイナルファンタジーV」は、IIIで確立されたジョブシステムをさらに深化させ、今なお「シリーズ最高のジョブシステム」と評されることの多い一作です。ストーリー面では比較的王道な冒険活劇でありながら、随所に散りばめられたユーモアと、自由度の高いキャラクター育成が絶妙に組み合わさり、システムを愛するプレイヤーから絶大な支持を集め続けています。
物語の概要
風のクリスタルが砕け散ったことをきっかけに集まった、風来坊のバッツ、王女レナ、記憶を失った老人ガラフ、正体不明の女海賊ファリスという4人が、次々と壊れていくクリスタルの謎を追う旅に出ます。旅の中でガラフが実は異世界の王であったことや、ファリスがレナの生き別れの姉であったことなど、次々と明かされる仲間たちの秘密が物語に厚みを与えていきます。やがて彼らの前に立ちはだかるのは、封印されていた邪悪な力から生まれた樹の魔物「エクスデス」。クリスタルに託された力を巡る、世界の均衡を賭けた戦いが繰り広げられます。二つの世界を巡りながら、それぞれの土地で出会う人々や文化の違いを味わえる旅の作り込みも、本作の見逃せない魅力の一つです。
集大成となった「アビリティジョブシステム」
Vの最大の魅力は、22種類以上という膨大な数のジョブと、ジョブごとに習得した「アビリティ」を他のジョブに持ち越して自由に組み合わせられる、非常に柔軟な育成システムです。戦闘で得られる「ABP(アビリティポイント)」を消費してジョブ固有の技を習得し、覚えたアビリティはジョブを変更した後も装備し続けられます。「黒魔道士の魔法を剣士が使う」といった組み合わせが可能になり、プレイヤーの数だけ最適解が存在するとまで言われるほどの自由度の高さを実現しました。
「すっぴん」から始まる自由な育成
すべてのジョブを極めた先に到達できる「すっぴん(フリーランサー)」や、あらゆるアビリティを2つまで自由に組み合わせられる「ミミック(ものまねし)」といった上級ジョブの存在も、Vのやり込み要素を語るうえで欠かせません。全ジョブをカンストさせたキャラクターだけが辿り着けるこれらの到達点は、システムを極限まで突き詰めたいプレイヤーにとって大きな目標となり、発売から30年以上経った今もなお、最適な育成ルートを研究するファンが後を絶たないほどの奥深さを誇っています。
シリーズ屈指の人気キャラクター、ギルガメッシュ
Vを語るうえで欠かせないのが、道中何度も立ちはだかる中ボス「ギルガメッシュ」の存在です。真剣に戦いを挑んでくる一方でどこか間の抜けた言動も多く、時にはあっけなく撃退されてしまうなど、シリアスな物語の合間に絶妙な緩急をもたらすコミカルな名敵役として、当時から絶大な人気を誇りました。その人気は本作だけにとどまらず、後のナンバリング作品や派生作品にも度々ゲスト出演するほどで、シリーズを代表する敵キャラクターの一人として今も愛され続けています。
王道でありながら愛される物語のバランス感覚
Vの物語はIVのような重厚な人間ドラマとは対照的に、クリスタルを巡る王道の冒険活劇としての側面が強いのが特徴です。しかしその軽快なテンポの中にも、ガラフの正体やファリスの過去といった、じっくり時間をかけて明かされる伏線が丁寧に配置されており、単純な勧善懲悪では終わらない深みを持っています。シリアスな展開とユーモラスな掛け合いのバランス感覚の良さが、幅広い層のプレイヤーから長く愛され続けている理由の一つです。
召喚獣とバニシュ・デスの伝説的コンボ
アビリティの自由な組み合わせが可能なVでは、当時のプレイヤーの間で様々な強力コンボが発見・研究されました。中でも「バニシュ」で相手を透明状態にしてから即死効果を持つ「デス」を重ねがけする、いわゆる「バニデス」戦法は、当時のプレイヤーの間で語り草になった代表的な攻略法の一つです。攻略本やインターネットの攻略情報に頼らず、プレイヤー同士の口コミだけでこうした戦法が広まっていったという背景も、時代を感じさせるエピソードです。こうした「自分で発見する攻略法」の存在こそが、情報が今ほど簡単に手に入らなかった時代のRPGならではの醍醐味であり、Vのシステムの奥深さを象徴するエピソードとして今も語り継がれています。
ドラゴンやチョコボと巡る大冒険
バッツが相棒として連れているチョコボの「ボコ」をはじめ、Vには移動手段としての乗り物にも印象的な存在が数多く登場します。空を飛ぶドラゴンに乗って敵陣を強襲する場面や、深海を進む潜水艦での探索など、移動手段そのものが物語のイベントや演出に組み込まれている場面が随所にあり、単なる移動の手段以上のワクワク感を演出しています。こうした乗り物を駆使したフィールド探索の幅広さも、Vの冒険をより一層魅力的なものにしている要素の一つです。
やり込み好きを唸らせる隠しダンジョン
本編クリアだけでは物足りないというプレイヤーのために、Vには強力な隠しボスや隠しダンジョンも用意されています。特に、あらゆる属性を無効化する強敵「オメガ」や、歴代シリーズの名場面を再現した謎の存在「シド&ミド」との戦いは、当時のやり込み勢の間で大きな話題となりました。これらの強敵は本編のボスをはるかに上回る耐久力と火力を持ち、育て上げたジョブとアビリティの組み合わせを総動員しないと太刀打ちできない歯ごたえのある調整になっています。本筋のクリアを目指すだけでなく、こうした隠し要素に挑戦することで、育てたジョブとアビリティの組み合わせを実戦で試す楽しみも用意されています。
後のシリーズに与えた影響
Vで確立されたアビリティの持ち越しという発想は、その後のシリーズ作品やスピンオフ作品にも形を変えて受け継がれています。ジョブごとに固有の技を覚え、それを自由に組み合わせて自分だけのキャラクターを作り上げるという楽しみ方は、後年の様々なRPGにも影響を与えたと言われるほどで、Vが築き上げたシステムの完成度の高さを物語っています。ナンバリング本編でこそ直系の後継作は多くありませんが、そのエッセンスは今も様々な形でシリーズに息づいています。
今遊ぶなら
今遊ぶなら、快適な操作性に調整されたピクセルリマスター版がおすすめです。全ジョブを極める完全やり込みから、お気に入りのジョブ数個だけでクリアを目指すライトな遊び方まで、プレイヤーのペースに合わせて楽しめる懐の深さも本作の魅力です。ジョブシステムの奥深さを心ゆくまで味わいたいという人には、シリーズの中でも特に強くおすすめしたい一本です。攻略サイトに頼らず、自分の手であれこれ組み合わせを試行錯誤する時間こそが、Vというゲームを最も濃密に楽しむ方法だと言えるでしょう。
まとめ
ファイナルファンタジーVは、IIIから受け継いだジョブシステムを極限まで突き詰め、今なお色褪せない完成度を誇る「システムのFF」の代表格です。ギルガメッシュという愛すべき名敵役や、プレイヤーごとに異なる育成の最適解を探す楽しさなど、遊べば遊ぶほど新しい発見がある懐の深さは、発売から30年以上経った今も色褪せていません。王道の物語とシステムの自由度、その両方を高い次元で両立させたバランス感覚こそ、本作が今なお多くのファンから「システムのFF」の頂点として語り継がれている最大の理由だと言えるでしょう。
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