『英雄伝説 黎の軌跡』レビュー ― 新天地カルバード共和国、異色の主人公が切り拓く新章

創の軌跡でシリーズの一つの区切りを迎えた後、まったく新しい舞台と主人公で幕を開けたのが『英雄伝説 黎の軌跡』です。ゼムリア大陸中西部に位置する大国カルバード共和国を舞台に、これまでのシリーズとは一味違う空気感の物語が展開されます。

「スプリガン」という異色のポジション

主人公ヴァン・アークライドは、これまでのシリーズの主人公たちとは一線を画す、どこか掴みどころのないキャラクターです。裏社会の便利屋的な存在「スプリガン」として、法の内と外を行き来しながら仕事を請け負う立場にあり、正義感あふれる遊撃士や特務支援課の面々とは違ったダークさとクールさを持ち合わせています。相棒のアニエス・クロデルとのコンビも軽妙で、これまでとは違ったテイストの物語を楽しめます。

かつての王制から民主共和制へ ― 好景気に沸くカルバード共和国

舞台となるカルバード共和国は、百年前の民主化革命によって王制から共和制へと移行した大国です。物語開始時点では、隣国との戦争で得た莫大な賠償金によって空前の好景気に沸いており、経済的にも軍事的にも大陸随一の国家になりつつあるという設定が、これまでの国々とはまた違った社会背景を生み出しています。好景気の裏で広がる格差や闇の部分が徐々に描かれていく展開は、シリーズの中でも社会派な色合いが強いパートと言えます。

遊撃士協会・情報機関・猟兵団が絡み合う群像劇

カルバード編では、おなじみの遊撃士協会に加え、情報機関CIDや、荒事を請け負う猟兵団といった複数の組織が入り乱れて物語に絡んできます。ヴァンというスプリガンの立場だからこそ、こうした様々な勢力の思惑が交差する事件に深く関われる構成になっており、これまでとは違った角度からゼムリア大陸の裏側を覗き見るような面白さがあります。

新システムと快適さを両立した戦闘

戦闘システムは、これまでのシリーズの遊びやすさを継承しつつ、新要素も追加されており、シリーズ経験者にも新規プレイヤーにも配慮したバランスになっています。

まとめ

『黎の軌跡』は、これまでとは異なる主人公像と舞台設定で、軌跡シリーズに新しい風を吹き込んだ意欲作です。シリーズを長く追ってきた人はもちろん、ダークで大人びた雰囲気のRPGが好きな人にもおすすめできる一本です。

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