スタイリッシュアクションはどう進化してきたか ― デビルメイクライシリーズの軌跡

「デビルメイクライ」が生み出した、プレイの格好良さそのものを評価する「スタイリッシュアクション」というジャンル。今回はそのシステムの進化を振り返ります。

初代で確立されたランクシステム

コンボの多彩さや被弾の少なさを評価し、D・C・B・A・S・SSといったランクで表示するシステムは、単なる爽快感だけでなくプレイヤーの技術を可視化する画期的な仕組みでした。

3でのスタイルチェンジ、5での複数主人公制

3で導入された複数の戦闘スタイルの切り替え、5での3人の主人公の切り替えなど、作品を重ねるごとにアクションの選択肢は大きく広がっていきました。

まとめ

爽快感と奥深さを両立させ続けてきたことが、シリーズが今なおジャンルの代表格であり続ける理由です。

この「スタイリッシュアクション」という評価軸は、当初はあくまで隠し要素的なおまけ機能でした。しかし初代の時点で、単に敵を倒すだけでなく「どう倒すか」をゲームがリアルタイムで採点してくれるという発想自体が革新的で、プレイヤーは自然と「もっと格好良く戦いたい」という欲求を刺激されることになりました。同じ敵を同じ数だけ倒しても、コンボを工夫すればSランクになり、被弾を重ねればD評価に落ちてしまう。このシビアなフィードバックが、単調になりがちなアクションゲームのリプレイ性を大きく引き上げたのです。

3で導入された「ソードマスター」「ガンスリンガー」「トリックスター」「ロイヤルガード」「ダークスレイヤー」という複数のスタイルシステムは、プレイヤーに戦闘そのものをカスタマイズする自由を与えました。近接攻撃を極めたい人はソードマスターを、回避と機動力を重視する人はトリックスターを選べる。この「自分だけの戦い方を選べる」という設計思想は、後のシリーズ全体を貫く哲学になっていきます。単に強い装備を選ぶのではなく、プレイスタイルそのものを選択させるという発想は、当時のアクションゲームとしてはかなり先進的でした。

4ではネロという新主人公が「デビルブリンガー」という腕を使った独自のアクションを見せ、後半でプレイアブルになるダンテは3のスタイルシステムをリアルタイムで切り替えられるように進化しました。戦闘中に持ち替える武器とスタイルの組み合わせは膨大で、上級者になるほど「今この瞬間に何を選ぶか」の判断がスコアに直結する、非常に奥深いシステムへと発展していきます。

DmC ―― 続くグラップリングフックとカラースイッチ

Ninja Theory制作のDmCでは、敵の色に合わせて武器を切り替える「エンジェル」「デーモン」システムや、グラップリングフックで敵や足場を引き寄せる新要素が追加されました。従来のファンからは賛否が分かれた作品ですが、アクションの新しい可能性を模索したという点では評価すべき挑戦だったと思います。フィールドそのものを操作に組み込む発想は、後の作品にも影響を与えました。

5で完成した「クセになる」コンボの奥深さ

5では、ネロの義手デビルブレイカーの使い捨てギミック、Vという遠隔操作型の新スタイル、そしてダンテの複数スタイル切り替えがさらに洗練され、3人の主人公それぞれがまったく異なる爽快感を提供する構成になりました。特にダンテは歴代の集大成といえる操作の自由度を誇り、上級者同士の「無傷SSSクリア」動画がSNSで盛んに共有されるなど、スタイリッシュアクションというジャンルの到達点のひとつを示した作品だと感じます。

このジャンルの面白さは、eスポーツのような対人競技とは違い「自分自身の腕前との対話」である点にもあります。タイムアタックやノーダメージクリアを目指す過程は孤独な作業に見えて、実は動画投稿を通じて世界中のプレイヤーと技術を共有し合う、緩やかなコミュニティ活動でもあります。スコアという明確な指標があるからこそ、上達を実感しやすく、長期間プレイし続けるモチベーションにもつながっているのだと思います。

また、ベヨネッタやゴッド・オブ・ウォーなど、他社のアクションゲームにもスタイリッシュアクションの影響は色濃く見られます。デビルメイクライが切り拓いたこのジャンルは、今やアクションゲーム全体の設計思想に大きな足跡を残していると言えるでしょう。派手な演出だけでなく、プレイヤーの技量を数値化して可視化するという発想そのものが、多くのクリエイターにインスピレーションを与え続けています。

それでは、今回はここまでとします。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

スコアシステムがもたらす「見せプレイ」という文化

スタイリッシュアクションの魅力を語るうえで欠かせないのが、「攻略のための効率」と「見た目の格好良さ」がしばしば相反するという点です。最短ルートで敵を倒すだけならもっと単純な戦法もあるはずなのに、あえて空中コンボを長く繋いだり、複数の武器を持ち替えて演出を重視したりする。これは効率を犠牲にしてでも「格好良く戦う」ことに価値を見出すプレイヤー心理そのものであり、他のジャンルではなかなか味わえない独特の楽しみ方だと思います。動画共有サイトで「見せプレイ」の投稿が今も絶えないのは、このジャンルが持つ表現の自由度の高さを物語っています。

難易度設定の幅広さも、このシリーズがスタイリッシュアクションの完成度を追求できた理由のひとつです。初心者でも爽快感を味わえるイージーモードから、一撃death・被弾即ミスに近いような超高難易度モードまで用意されており、プレイヤーの熟練度に応じて求められる操作精度が段階的に上がっていきます。この懐の広さが、ライトユーザーからやり込み勢まで幅広い層を同じ作品の中に留め続けている理由なのだと感じます。

敵のデザインもスタイリッシュアクションを支える重要な要素です。単に硬い、攻撃力が高いというだけでなく、「この敵にはこの武器の特定の技が有効」「空中に浮かせやすい」といった、コンボを組み立てる際のパズル的な楽しさを引き出す設計がなされています。プレイヤーが敵の特性を学習し、それに応じて自分の攻め方を工夫していくプロセス自体が、スタイリッシュアクションというジャンルの奥深さを支えているのです。

近年は本シリーズに影響を受けた新作アクションゲームも増えており、スコアリングシステムやスタイル切り替えの概念を独自にアレンジした作品が次々と登場しています。それだけデビルメイクライが打ち立てた「格好良さを競う」という発想が、ジャンルとして確固たる地位を築いた証だと言えるでしょう。今後も新作が出るたびに、このスタイリッシュアクションの系譜がどのように進化していくのか、一人のファンとして楽しみにしています。

こうして振り返ってみると、スタイリッシュアクションというジャンルは単なる爽快感の演出にとどまらず、プレイヤーの技術・美意識・創造性までも評価対象に組み込んだ、非常に野心的な仕組みだったことがわかります。次回作でどのような新しいスタイルシステムが登場するのか、今から期待が高まります。

あなたはどのスタイルで、どんな「格好良い」戦い方を見せてくれるでしょうか。ぜひ自分だけのコンボを探してみてください。

それでは、今回はここまでとします。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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