初代『メタルギア』(1987)レビュー ― すべてはここから始まった原点

1987年、コナミからMSX2用ソフトとして発売された初代『メタルギア』は、後に40年近く続くことになる大長寿シリーズの記念すべき第一作です。当時のアクションゲームの主流だった「敵を倒して進む」というスタイルとは真逆の、「敵に見つからずに進む」というコンセプトを打ち出した本作は、発売から40年近く経った今振り返っても、ゲーム史における非常に重要な一本だと言えます。この記事では、シリーズの原点である本作の魅力を、当時の時代背景も交えて紹介していきます。

物語の舞台 ― 謎の要塞国家アウターヘブン

物語の舞台は、南アフリカに存在するとされる謎の要塞国家「アウターヘブン」。傭兵部隊「FOXHOUND」の新人隊員ソリッド・スネークは、アウターヘブンに単身潜入した先輩隊員グレイ・フォックスの救出と、国家が開発しているとされる二足歩行兵器「メタルギア」の調査という任務を負い、たった一人で敵地に乗り込んでいきます。核兵器を発射できる二足歩行兵器という、以後シリーズの根幹となる設定がこの一作目からすでに確立されていたという事実には、今見ても驚かされます。

「見つからずに進む」という革新的なゲームデザイン

本作最大の特徴は、見下ろし型の画面で敵兵の視界を確認しながら、物陰に隠れつつ目的地を目指すというゲームデザインです。当時のアクションゲームは正面から敵を倒して進むものがほとんどだった中、本作は「戦わずに切り抜ける」ことを推奨する作りになっていました。武器を持たずに素手で進むことも可能で、むしろ銃撃戦を避けて隠密行動に徹した方がクリアしやすい場面も多く、プレイヤーの発想の転換を強く促すゲームでした。この「隠れる」というアイデアが、後のステルスゲームというジャンルそのものの原点になったことを考えると、その先見性には驚かされるばかりです。

無線を使った情報収集というアイデア

本作では、無線を通じて司令部や協力者からアドバイスをもらいながら攻略を進めていく仕組みが採用されています。単に一人で黙々と進むのではなく、無線越しのキャラクターとのやり取りを通して物語や攻略のヒントが提供されるこの形式は、後のシリーズ作品でも一貫して受け継がれる、本シリーズを象徴する演出のひとつになりました。何かに行き詰まった際にはとりあえず無線でいろいろな相手に連絡してみる、というプレイスタイルも、このシリーズならではの楽しみ方だと言えます。

捕虜の救出とアイテム収集

要塞内には捕虜として囚われている兵士たちがおり、彼らを解放することで新たな装備やアイテムを入手できる仕組みも用意されています。限られた装備をやりくりしながら、必要な道具を見極めて先に進んでいく攻略の流れは、当時としてはかなり戦略性の高いゲームデザインでした。行き止まりに見える場所も、実は特定のアイテムを使うことで突破できるようになっているなど、探索と謎解きの要素もしっかり盛り込まれています。

移植とその後の展開

本作は後にファミリーコンピュータにも移植されていますが、MSX2版とは仕様がかなり異なる別物として知られています。海外では『Snake’s Revenge』という、小島秀夫氏が関与していない独自の続編がファミコン用として発売されたこともあり、この経緯が翌年の正式な続編『メタルギア2 ソリッドスネーク』制作のきっかけになったとも言われています。現在では『メタルギアソリッド マスターコレクション Vol.1』に本作のMSX2版が収録されており、現行機で当時のオリジナル体験をそのまま味わうことができます。当時のインストラクションマニュアルを模した資料が同梱されているなど、単なる移植にとどまらない当時の空気を再現する工夫も凝らされています。

後のシリーズに繋がる伏線

本作の終盤では、シリーズを象徴する大きな展開が待っています。ここでは詳細をあえて伏せますが、後の作品で繰り返し語られることになるある人物の正体が、この一作目の時点ですでに描かれていたことを知ると、シリーズ全体を貫くテーマの一貫性に驚かされます。40年近い歴史を持つシリーズの土台が、たった一本のMSX2用ソフトの中にすでにしっかりと存在していたというのは、今振り返っても興味深い事実です。初めてこの展開を知ったときの衝撃は、後年のリメイクや続編を先にプレイした人ほど大きいかもしれません。

今プレイする意味はあるのか

グラフィックや操作性は当然ながら現代の基準とは大きく異なりますが、「隠れて進む」という核となる面白さは今遊んでも十分に成立しています。何よりも、後のシリーズで何度も言及される「アウターヘブン」や「メタルギア」という単語、そしてソリッド・スネークというキャラクターの原点をこの目で確認できるという体験は、シリーズファンにとって非常に価値のあるものです。マスターコレクションで手軽に遊べるようになった今こそ、あえて原点に触れてみる価値は十分にあると思います。周年イベントやリメイク作品が発表されるたびに、必ずと言っていいほど本作の要素が引用されることからも、シリーズにおける本作の重要性の高さがうかがえます。

個人的な感想

初めて本作に触れたときに驚いたのは、40年近く前の作品でありながら、ゲームデザインの根幹にある発想がまったく古びていないことでした。「見つかったら不利になる」という緊張感は、グラフィックの美しさとは無関係に成立する普遍的な面白さです。後年の華やかなグラフィックに慣れた状態で遊ぶと最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてくると独特のリズムが心地よくなってきて、気づけば時間を忘れて没頭してしまう、そんな不思議な中毒性を持った一本だと感じています。プレイ時間自体はそれほど長くないので、シリーズの他作品をひと通り遊び終えた後に「答え合わせ」的に触れてみるという楽しみ方もおすすめです。

よくある質問

今から遊ぶならどうやって手に入れる?

『メタルギアソリッド マスターコレクション Vol.1』(PS5・Xbox Series X|S・PC・Switch)に収録されているので、現行機で手軽に遊ぶことができます。当時のMSX2版がそのまま収録されているため、オリジナルの雰囲気を味わいたい人にもおすすめです。

古いゲームでも今の人が楽しめる?

操作や表示は当然レトロですが、ゲームとしての骨格は非常にしっかりしています。最初は勝手が違って戸惑うかもしれませんが、慣れれば十分に楽しめる作りになっています。シリーズの原点を知りたいファンにはぜひ触れてみてほしい一本です。

まとめ

初代『メタルギア』は、「敵に見つからずに進む」という当時としては非常に斬新なコンセプトを打ち出し、後のステルスゲームというジャンル、そして40年近く続く大シリーズの礎を築いた記念碑的な一本です。グラフィックの古さを差し引いても、ゲームデザインの核にある面白さは色褪せていません。マスターコレクションで気軽に遊べる今だからこそ、シリーズファンはもちろん、ゲーム史に興味がある人にもぜひ触れてみてほしい作品です。すべての始まりに触れることで、最新作を含むシリーズ全体への理解がより深まるはずです。

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